この記事の要点
健康食品やサプリメントでも、効能効果を書けば医薬品として扱われ得ます。厚生労働省の「医薬品の範囲に関する基準」、薬機法・健康増進法・景品表示法の違い、書いてはいけない表現の5つの型、保健機能食品で書ける範囲、医師監修でできることを医師が整理しました。

執筆・監修:小正 晃裕(医師・日本医師会認定産業医。詳しいプロフィールは記事末尾)|最終更新日:2026年10月19日

この記事でわかること

  • 健康食品でも、効能効果を書いた時点で医薬品として扱われ得ること(判断の物差しは厚生労働省の「医薬品の範囲に関する基準」)
  • 健康食品の記事にかかる法律は薬機法・健康増進法・景品表示法の3つで、それぞれ「誰が」規制されるかが違うこと
  • 書いてはいけない表現の5つの型
  • 特定保健用食品・機能性表示食品・栄養機能食品なら、何を、どこまで書けるか
  • 医師監修でできること・できないこと

健康食品・サプリメントの記事の監修をお探しの方へ(この記事の執筆元)

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「健康食品だから薬機法は関係ない」は誤り

健康食品やサプリメントは、法律上は「食品」です。ただし、書き方しだいで医薬品として扱われ得ます。

薬機法は「医薬品」を、疾病の診断・治療・予防に使うことが目的とされている物や、身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされている物などと定めています(医薬品医療機器等法 第2条第1項)。ここで決め手になるのは「目的とされている」かどうかです。食品であっても、記事や広告で病気が治る・予防できると書けば、その物は医薬品の目的を持つものとして扱われ得ます。

判断の物差し:「医薬品の範囲に関する基準」

厚生労働省は、ある物が医薬品にあたるかどうかを、次の4つの要素で判断するとしています(「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」昭和46年6月1日薬発第476号 別紙「医薬品の範囲に関する基準」)。

要素見られる点
成分本質(原材料)専ら医薬品として使われる成分かどうか
効能効果容器・包装・添付文書、チラシ・パンフレット・刊行物・インターネット等の広告宣伝物、口頭での説明で、どんな効能効果をうたっているか
形状錠剤・カプセル剤・アンプル剤など、医薬品に類似した剤型や容器か
用法用量服用時期・服用間隔・服用量など、医薬品のような詳しい用法用量が書かれているか

記事を書く側が直接関わるのは、2つ目の「効能効果」です。判断の対象にはインターネット等の広告宣伝物が明記されています。同基準は、医薬品的な効能効果を次の3つに分けています。

  1. 疾病の治療または予防を目的とする効能効果
  2. 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果
  3. 医薬品的な効能効果の暗示

承認を受けていない物の効能広告は禁止

医薬品として扱われる物について、承認を受けずに効能効果を広告することは禁じられています。条文の主語は「何人も」で、製造販売業者に限られません(同法 第68条)。

健康食品の記事にかかる3つの法律

健康食品の記事は、薬機法だけでなく、健康増進法と景品表示法の対象にもなります。それぞれ「誰が」規制されるかが違うので、記事を書く立場によって関わり方が変わります。

法律禁止していること誰が対象か
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の効能効果の広告(第68条)、医薬品等の虚偽・誇大な記事(第66条)何人も
健康増進法食品の健康保持増進効果等について、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させる表示(第65条第1項)何人も。消費者庁は、広告媒体事業者・広告代理店なども対象となり得るとしている
景品表示法実際よりも著しく優良であると示す表示(第5条第1号)など自己の供給する商品について表示する事業者

健康増進法について、消費者庁は「食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をする者であれば規制の対象となり、食品の製造業者、販売業者等に何ら限定されるものではない」としています(消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」令和4年12月5日一部改定)。

景品表示法では、2023年10月1日から、広告であることを隠した表示(いわゆるステルスマーケティング)も違反になりました。規制の対象は広告主である事業者です。

罰則の規定

薬機法の第66条第1項(虚偽・誇大な記事)と第68条(承認前の医薬品の広告)に違反した者は、2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその両方の対象になります(同法 第85条)。第66条第1項の違反には、対象となった商品の取引の対価の合計額に4.5%を掛けた額の課徴金の制度もあります(同法 第75条の5の2)。

書いてはいけない表現の5つの型

ここからは実務です。健康食品・サプリメントの原稿でよく見かける形を、根拠とあわせて挙げます。

型原稿で見かける例根拠
① 病気の治療・予防「血圧が下がる」「糖尿病を予防」「がんに効く」医薬品の範囲に関する基準(効能効果の1つ目)
② 身体機能の増強・増進「疲労回復」「強精強壮」同基準(2つ目)、消費者庁 留意事項
③ 暗示病名を直接書かずに、成分の説明や体験談で効能を連想させる同基準(3つ目)
④ 医師・専門家の推奨「○○%の医師がおすすめと回答」「管理栄養士が推奨する成分を配合」消費者庁 留意事項(健康保持増進効果を暗示する例として明記)
⑤ 体験談+打消し表示「飲み始めて体が軽くなりました(※個人の感想です)」消費者庁 留意事項

④について、消費者庁は「○○%の医師の方が、『○○製品の利用をおススメする』と回答しました」「管理栄養士が推奨する○○成分を配合」を、健康保持増進効果を暗示的に表現する例として挙げています。医師が監修する記事ほど、この型に近づかないよう注意が必要です。

⑤について、消費者庁は「個人の感想です」「効果を保証するものではありません」と書いても、虚偽誇大表示等にあたるかどうかの判断には影響しないとしています。表示内容の全体から効果があると受け取られ、実際にはその効果がなければ、違反になり得ます。

保健機能食品なら、何を書けるか

「機能性表示食品だから効果を書いてよい」という理解も、半分だけ正しい状態です。書けるのは、許可・届出・規格の範囲内に限られます。

区分国の関与書ける内容
特定保健用食品(トクホ)国が個別に許可許可された健康の維持・増進に関する表示
機能性表示食品事業者の責任で表示し、国に届出届け出た内容に基づく機能の表示
栄養機能食品国の定める基準に従う国が定めた定型文による栄養成分の機能の表示
いわゆる健康食品(上記以外)なし健康の維持・増進に関する機能は表示できない

(消費者庁「保健機能食品について」)

記事で保健機能食品を扱うときは、許可・届出された表示を言い換えて広げないことが基本です。たとえば届出の内容が「〜の機能がある」でも、記事で「〜の病気が良くなる」と書けば、範囲を超えます。

医師監修でできること・できないこと

できることできないこと
医学的に誤った記述や、古くなった情報を直す特定の商品の効能を、医師として保証・推薦する
一次情報(法令・通知・ガイドライン・論文)を示す記事が法令に適合するかを最終的に判定する(判断するのは行政・司法)
①〜⑤の型にあたる表現を指摘し、言い換え案を出す承認・許可・届出の範囲を超える効果を「書いてよい」とする
保健機能食品の表示の範囲を確認する—

監修者の名前を出す記事には、薬機法第66条第2項の「医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事」という縛りもかかります。詳しくは「医療記事の薬機法チェック|監修者が実際に赤を入れる箇所」で解説しています。

株式会社MeIXの医師監修は、記事の監修です。商品そのものの監修や推薦はお受けしていません。一般的な医学情報の正確さと、表現が法令に照らしてどう読まれるかを確認します。

よくある質問

Q. 「個人の感想です」と書けば、体験談を載せてもよいですか

消費者庁は、こうした打消し表示を書いても、虚偽誇大表示等にあたるかどうかの判断には影響しないとしています。体験談を含む表示内容の全体から、効果があると受け取られるかどうかで判断されます。

Q. 自社の商品ではなく、成分の一般論を書く記事なら問題ありませんか

健康増進法第65条は「何人も」を対象にしており、消費者庁は広告媒体事業者なども対象となり得るとしています。また厚生労働省は、薬機法の広告にあたるかどうかを、顧客を誘引する意図が明確か、特定の商品名が明らかか、一般人が認知できる状態か、の3つで判断するとしています。成分の一般論でも、特定の商品名や購入への導線と結びつけば、その商品の広告として扱われる可能性があります。

Q. 機能性表示食品なら、効果を書いてもよいですか

届け出た内容の範囲であれば表示できます。ただし、届出の範囲を超える効果や、病気の治療・予防をうたう表現は書けません。

Q. 違反するとどうなりますか

薬機法第68条や第66条第1項に違反した場合、2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその両方の対象になります。第66条第1項の違反には課徴金の制度もあります。健康増進法・景品表示法にも、それぞれ行政の措置があります。

まとめ

  • 健康食品でも、効能効果を書けば医薬品として扱われ得る。判断の物差しは「医薬品の範囲に関する基準」
  • 薬機法と健康増進法は「何人も」が対象。記事を書く人・掲載するメディアも無関係ではない
  • 避けるべきは、病気の治療・予防、身体機能の増強、暗示、医師・専門家の推奨、打消し表示に頼った体験談の5つの型
  • 保健機能食品でも、書けるのは許可・届出・規格の範囲内だけ
  • 医師監修は、医学的な正確さと表現の確認を担う。商品の効能を医師が保証するものではない

健康食品やサプリメントを扱う記事の医師監修は、医療記事の医師監修サービス(企業・医療メディア向け)でお受けしています。

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参考・出典

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第2条・第66条・第68条・第75条の5の2・第85条(e-Gov法令検索)
  • 健康増進法 第43条・第65条(e-Gov法令検索)
  • 不当景品類及び不当表示防止法 第5条(e-Gov法令検索)
  • 無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日薬発第476号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」
  • 薬事法における医薬品等の広告の該当性について(平成10年9月29日医薬監第148号)
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定)
  • 消費者庁「保健機能食品について」/「ステルスマーケティングは景品表示法違反です」
  • 本記事に記載の法令・通知は、2026年10月6日時点の内容を確認しています。