この記事でわかること

  • 「急ぎ」の場面で、依頼から面談までに何が必要になるのか
  • 依頼先の3つの選択肢と、それぞれの向き・不向き
  • 待ち時間を短くするために、いま用意しておけるもの

今まさに困っているという会社の方へ(この記事の執筆元)

筆者は現役の医師・産業医です。株式会社MeIXでは、信頼できる産業医ネットワークにより、オンラインの単発面談を1回から承っています。お急ぎの事情がある場合は、お問い合わせの際にその旨をお知らせください。→ 30分の無料オンライン相談はこちら

「急ぎ」になる3つの場面

1. 高ストレス者から面接指導の申出があった

ストレスチェックで高ストレスの要件に該当した労働者から申出があった場合、事業者は医師による面接指導を行わなければなりません(労働安全衛生法第66条の10第3項)。厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」(令和8年2月)は、申出があった場合は遅滞なく面接指導を実施しなければならないとしています(4-1)。

2. 長時間労働者から面接指導の申出があった

時間外・休日労働が1か月あたり80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者から申出があった場合も、医師による面接指導が必要です(安衛法66条の8、労働安全衛生規則第52条の2第1項)。事業場の人数要件はありません。

3. 不調の相談・診断書の提出があった

上記の法定要件に当てはまらなくても、健康への配慮が必要な労働者については必要な措置を講ずるよう努める義務があります(安衛法66条の9)。就業の可否や配慮の内容を判断するために、医師の意見が必要になる場面です。

依頼先の3つの選択肢

依頼先費用向いている場面注意点
地域産業保健センター(地さんぽ)無料50人未満の事業場/費用を抑えたい回数・範囲・日程に制限。多拠点企業の営業所等は利用できない場合がある
外部の医師への単発依頼(スポット面談)1回2万円〜(税別)日程を優先したい/所見書が必要契約・申込書のやり取りが必要
嘱託・リモート産業医契約月額(リモートは月3万円〜・税別)今後も継続的に発生する見込み立ち上げに時間がかかる

地域産業保健センターは、独立行政法人労働者健康安全機構が全国350か所(おおむね労働基準監督署単位)に設置している支援機関です。50人未満の事業場は医師の面接指導などを無料で利用できますが、厚生労働省のマニュアルには「いわゆる大企業の営業所等である小規模事業場で、本社等で選任されている産業医等の協力を得られるような場合は、ご利用いただけないことがあります」との記載があります(同マニュアル2-3)。まず管轄の窓口に利用可否と日程を確認するのが最初の一手です。

急ぐときに時間がかかるのは「面談そのもの」ではない

オンライン面談は15〜20分程度で実施できます。所要日数を左右するのは、その前後の手続きです。

  1. 契約:外部の医師に依頼する場合、業務委託契約の締結が必要です(電子契約であれば当日中に完了することもあります)
  2. 申込み:面談の目的・対象者・希望日時を記載した申込書のやり取り
  3. 情報の受け渡し:会社が記入する事前情報シートと、本人が記入する事前問診票
  4. 日程調整:医師の空き状況と、本人・会社の都合の突き合わせ

つまり、書類が揃っているかどうかで待ち時間が変わります

いま用意しておけるもの(依頼前チェックリスト)

  • 対象者の業務情報:職種、業務内容、責任の重さ、対人業務の有無
  • 労働時間:直近1〜3か月の時間外・休日労働時間、深夜業の回数
  • 勤務形態:交代制の有無、在宅勤務の可否、通勤時間
  • 経緯:いつから、どのような状態か、本人の希望
  • 会社として調整できる範囲:業務量の調整、配置転換、時短勤務の可否
  • 健診結果(ある場合)

高ストレス者の面接指導の場合、厚生労働省のマニュアルは、面接指導を担当する医師へ次の情報を提供するとしています(4-2)。氏名・性別・年齢・所属・役職等/個人のストレスチェック結果/実施直前1か月の労働時間・労働日数・深夜業の回数・業務内容/健康診断の結果/実施時期が繁忙期であったかどうか。

これらを面接指導のために医師へ提供することは法令に基づく対応であり、本人の同意がなくても第三者提供の制限は受けませんが、提供することを事前に本人へ伝えておくことが望まれます

オンラインで実施できるか

法定の面接指導については、厚生労働省が「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について」(平成27年9月15日付け基発0915第5号、令和2年11月19日付け基発1119第2号による改正後)で留意事項を示しています。

  • 医師と労働者が互いに表情・顔色・声・しぐさ等を確認できる機器で、映像と音声の送受信が常時安定していること
  • 情報セキュリティが確保され、労働者が容易に操作できること
  • 実施方法について衛生委員会等で調査審議し、事前に労働者へ周知していること
  • 面接指導を実施する医師が必要と認める場合には、直接対面で行う必要がある

なお、面接指導の費用は事業者が負担すべきものとされ、保険診療扱いはできません(同マニュアル4-2)。

面談のあとにやること(会社側)

  • 医師からの意見聴取:就業上の措置について医師の意見を聴きます(安衛法66条の8第4項、66条の10第5項)
  • 就業上の措置:意見を勘案し、必要と認めるときは労働時間の短縮、業務内容の変更、配置転換等を実施します
  • 記録の5年保存:面接指導結果の記録の作成・保存は事業者の義務です(労働安全衛生規則第52条の6、第52条の18)

外部の医師に依頼した場合も、保存の義務は会社側にあります

よくある質問

Q1. 産業医と契約していませんが、すぐに面談を頼めますか?

A1. 業務委託契約を締結いただければ1回単位でご依頼いただけます。所要日数は契約・書類のやり取りと医師の空き状況によって変わるため、お急ぎの事情はお問い合わせの際にお知らせください。

Q2. 何日で実施できますか?

A2. 確約はできません。書類が揃っているか、日程の候補をどれだけ出せるかで変わります。事前情報シートと問診票を先に用意しておくと短縮できます。

Q3. 無料の窓口を先に当たったほうがよいですか?

A3. 50人未満の事業場であれば、まず管轄の地域産業保健センターに利用可否と日程を確認することをおすすめします。対象外・日程が合わない場合に民間の依頼を検討する順序が現実的です。

Q4. 本人が面談を拒否している場合は?

A4. 法定の面接指導は本人の申出に基づいて実施されます。申出をしなかった労働者についても、相談できる窓口を案内することが重要とされています。

Q5. 面談の内容は会社にどこまで伝わりますか?

A5. 面接指導を実施した医師は、就業上の措置に必要な最小限の情報に限定して事業者に提供する必要があり、診断名・検査値・具体的な愁訴の内容などの生データを提供してはいけません(同マニュアル4-6)。会社側も求めてはいけません。

まとめ

急ぎの場面で時間がかかるのは、面談そのものではなく契約・申込み・情報の受け渡しです。だからこそ、困ってから探すのではなく、依頼先と必要書類を平時に決めておくことが最短ルートになります。まず管轄の地域産業保健センターの利用可否を確認し、対象外・日程が合わない場合の受け皿を1つ用意しておくと、いざというときに動けます。

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参考・出典:労働安全衛生法第66条の8・第66条の9・第66条の10/労働安全衛生規則第52条の2・第52条の6・第52条の18(e-Gov法令検索)/厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」(令和8年2月)/厚生労働省「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について」(平成27年9月15日付け基発0915第5号・令和2年11月19日付け基発1119第2号による改正後)/地域産業保健センター(こころの耳・厚生労働省)

本記事に記載の法令・通達は、2026年9月16日時点の内容を確認しています。法令・通達は改正されることがありますので、実務では最新の原文をご確認ください。