この記事の要点
衛生委員会の議題は法律で決まっています。安衛法18条1項の4項目に加え、安衛則22条が12項目を列挙。委員の半数は労働者側の推薦に基づき指名すること、議事録に残すのは発言録ではないことまで、条文をもとに産業医が整理しました。
執筆・監修:小正 晃裕(医師・日本医師会認定産業医。詳しいプロフィールは記事末尾)|最終更新日:2026年10月19日
この記事でわかること
- 議題は法律で決まっていること(安衛法18条1項の4項目+安衛則22条の12項目)
- 委員の構成と、半数は労働者側の推薦に基づいて指名するというルール
- 議長になる人は条文で決まっていること
- 議事録に残すのは発言録ではないこと(残すべき2項目は条文にあります)
- 議事の周知は3つの方法から選べること
- 設置しなかった場合の罰則
衛生委員会の運営でお困りの方へ(この記事の執筆元)
筆者は現役の医師・産業医です。株式会社MeIXでは、衛生委員会への出席・議題の提案・面談・健康相談を、オンラインで完結する形で全国対応で提供しています。「何を議題にすればよいか」というご相談だけでも構いません。→ お問い合わせフォームはこちら(メールでお返事します)
設置義務は50人以上
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
(労働安全衛生法 第18条第1項)
法第十八条第一項の政令で定める規模の事業場は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場とする。
(労働安全衛生法施行令 第9条)
「調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため」が目的として明記されています。 報告会ではなく、審議して意見を出す場として設計されています。
安全委員会も設けなければならない事業場では、両方に代えて安全衛生委員会を設置できます(安衛法19条1項)。
議題は法律で決まっています
第1層:安衛法18条1項の4項目
| # | 調査審議する事項 |
|---|---|
| 1 | 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること |
| 2 | 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること |
| 3 | 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること |
| 4 | 前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項 |
第2層:4号の「重要事項」に含まれる12項目(安衛則22条)
法第十八条第一項第四号の労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項には、次の事項が含まれるものとする。
(労働安全衛生規則 第22条柱書)
| # | 事項 |
|---|---|
| 1 | 衛生に関する規程の作成に関すること |
| 2 | 法28条の2第1項または57条の3第1項・第2項の危険性又は有害性等の調査およびその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること |
| 3 | 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る)の作成、実施、評価及び改善に関すること |
| 4 | 衛生教育の実施計画の作成に関すること |
| 5 | 法57条の4第1項および57条の5第1項の規定により行われる有害性の調査ならびにその結果に対する対策の樹立に関すること |
| 6 | 法65条第1項または第5項の規定により行われる作業環境測定の結果およびその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること |
| 7 | 定期健康診断、法66条4項の指示を受けて行う臨時の健康診断、法66条の2の自ら受けた健康診断、および法に基づく他の省令に基づく医師の診断・診察・処置の結果ならびにその結果に対する対策の樹立に関すること |
| 8 | 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること |
| 9 | 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること |
| 10 | 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること |
| 11 | 安衛則577条の2第1項・第2項・第8項の規定により講ずる措置に関すること、ならびに同条第3項・第4項の医師又は歯科医師による健康診断の実施に関すること |
| 12 | 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官または労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること |
この表を1年の議題カレンダーに割り付けると、毎月のネタに困りません。
いくつか補足します。
| # | 補足 |
|---|---|
| 6・7 | 作業環境測定の結果と健康診断の結果は、委員会にかけることが法令上予定されています。 ただし健診結果は個人が特定されないよう集約・加工して報告する必要があります(産業医の意見書には何が書かれるかで詳述) |
| 9 | 長時間労働対策。面接指導の実施状況は自然な議題になります(長時間労働の面接指導は「申出がなければ不要」ではない) |
| 10 | メンタルヘルス。ストレスチェックの集団分析結果はここに載せます |
| 11 | 安衛則577条の2はリスクアセスメント対象物のばく露を最小限度にする措置を定めた条文で、化学物質を扱う事業場が対象です。オフィスのみの事業場では該当しないことが多い項目です |
| 12 | 労働基準監督署から文書で指導を受けたら、委員会にかけることが求められています |
委員は誰がなるのか
衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。
一 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
二 衛生管理者のうちから事業者が指名した者
三 産業医のうちから事業者が指名した者
四 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
(労働安全衛生法 第18条第2項)
このほか、作業環境測定を実施している作業環境測定士である労働者を委員に指名することもできます(同条3項)。
議長は「1号の委員」
安衛法18条4項は、安全委員会の規定(17条3〜5項)を衛生委員会に準用しています。
安全委員会の議長は、第一号の委員がなるものとする。
(労働安全衛生法 第17条第3項/衛生委員会に準用)
議長は、事業の実施を統括管理する人(またはこれに準ずる人)です。 衛生管理者や産業医が議長になる形は、条文の想定と異なります。
半数は労働者側の推薦に基づいて指名する
事業者は、第一号の委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。
(労働安全衛生法 第17条第4項/衛生委員会に準用)
ここは見落とされがちです。 委員全員を会社側が選んでいる運営は、この条文に沿っていません。
なお、労働者の過半数で組織する労働組合との労働協約に別段の定めがあるときは、その限度で議長・推薦の規定は適用されません(同条5項)。
| 条文 | ルール |
|---|---|
| 18条2項ただし書 | 1号の委員(統括管理者等)は1人 |
| 17条3項(準用) | 議長は1号の委員 |
| 17条4項(準用) | 1号以外の委員の半数は労働者側の推薦に基づき指名 |
| 17条5項(準用) | 労働協約に別段の定めがあれば、その限度で3項・4項は適用しない |
衛生管理者と産業医の役割の違いは衛生管理者と産業医は何が違う?で整理しています。
開催と記録のルール(安衛則23条)
毎月1回以上
事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月一回以上開催するようにしなければならない。
(労働安全衛生規則 第23条第1項)
前項に定めるもののほか、委員会の運営について必要な事項は、委員会が定める。
(同条第2項)
開催頻度以外の運営ルールは、委員会自身が決めます。 会社が一方的に決めるものではありません。
議事の概要は「3つの方法のいずれか」で周知する
事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を次に掲げるいずれかの方法によつて労働者に周知させなければならない。
一 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
二 書面を労働者に交付すること。
三 事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体(中略)をもつて調製するファイルに記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
(労働安全衛生規則 第23条第3項)
3号は「記録しただけ」では足りません。 各作業場に常時確認できる機器を設置することまでが条文の要件です。社内共有フォルダに置くだけの運用は、この点を確認しておく必要があります。
記録に残すのは2項目
事業者は、委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
一 委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容
二 前号に掲げるもののほか、委員会における議事で重要なもの
(労働安全衛生規則 第23条第4項)
議事録=発言の逐語録ではありません。 条文が求めているのは、①委員会の意見と、それを踏まえて会社が講じた措置、②重要な議事の2つです。
「意見を踏まえて講じた措置の内容」まで書くという点が要点です。意見を出しただけで終わらせず、その後どうしたかを記録に残す構造になっています。
産業医は調査審議を求めることができる
産業医は、衛生委員会又は安全衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができる。
(労働安全衛生規則 第23条第5項)
産業医は「呼ばれたら出る人」ではなく、議題を持ち込める立場です。
なお、衛生委員会をオンラインで開催できるかについては衛生委員会はオンラインで開催できる?で、通達が示す機器の要件と運営の要件を整理しています。
設置しないと罰則があります
安衛法120条1号は、第18条第1項の規定に違反したときを含めて、次のように定めています。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
(労働安全衛生法 第120条柱書)
衛生委員会の設置義務違反は、罰則の対象です。 産業医の選任義務(法13条1項)や衛生管理者の選任義務(法12条1項)と同じ号に並んでいます。
議題に困ったときの考え方
法定の付議事項をそのまま毎月の議題にすると、次のような配分になります(これは条文の分類に基づく一例で、法令が指定する順序ではありません)。
| 時期 | 議題の例 | 対応する付議事項 |
|---|---|---|
| 健診の実施前後 | 健診の実施計画/結果の集計と対策 | 安衛則22条7号 |
| ストレスチェックの前後 | 実施方法の審議/集団分析結果と職場環境改善 | 同10号 |
| 期初 | 年間の安全衛生計画の作成 | 同3号 |
| 期中・期末 | 計画の実施状況の評価と改善 | 同3号 |
| 繁忙期の前後 | 長時間労働の状況と面接指導の実施状況 | 同9号 |
| 随時 | 衛生に関する規程の作成・改定 | 同1号 |
| 随時 | 監督署から文書で指導を受けた事項 | 同12号 |
| 随時 | 健康保持増進措置(健康経営の施策等)の実施計画 | 同8号 |
よくある質問
Q. 衛生委員会の議題は自由に決めてよいですか
法18条1項が4項目を、安衛則22条がそのうち4号の「重要事項」に含まれるものとして12項目を定めています。安衛則22条の柱書は「含まれるものとする」という書き方なので、これら以外を議題にすることは妨げられませんが、列挙された事項は調査審議の対象になります。
Q. 委員は会社が全員決めてよいですか
安衛法17条4項(衛生委員会に準用)は、1号の委員(事業の実施を統括管理する者等)以外の委員の半数について、労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合は労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならないとしています。ただし、労働者の過半数で組織する労働組合との労働協約に別段の定めがあるときは、その限度で適用されません(同条5項)。
Q. 議長は誰がなりますか
安衛法17条3項(衛生委員会に準用)により、議長は1号の委員がなるものとされています。1号の委員は、総括安全衛生管理者、または総括安全衛生管理者以外の者で事業場においてその事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者です。この委員は1人とされています(法18条2項ただし書)。
Q. 議事録には発言をすべて書く必要がありますか
安衛則23条4項が記録を求めているのは、①委員会の意見および当該意見を踏まえて講じた措置の内容、②そのほか委員会における議事で重要なもの、の2つです。保存期間は3年間です。
Q. 議事の周知はメール配信でもよいですか
安衛則23条3項は、①各作業場の見やすい場所への掲示または備付け、②書面の交付、③電子計算機のファイル等への記録+各作業場に常時確認できる機器の設置、のいずれかの方法によることを求めています。③については、記録するだけでなく各作業場に常時確認できる機器を設置することまでが条文の要件です。
Q. 50人未満でも衛生委員会を設けるべきですか
法18条1項の設置義務は、安衛令9条により常時50人以上の事業場にかかります。設置義務がない場合も、安衛則23条の2は「委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない」と定めています。条文の主語は「委員会を設けている事業者以外の事業者」で、規模ではなく委員会の有無で書かれています。
Q. 安全衛生委員会は月に1回開催しなければなりませんか
A. 毎月1回以上の開催が必要です(労働安全衛生規則23条1項)。開催しなかった月があると義務違反になります。議題が尽きた場合の組み立て方は本記事で整理しています。
まとめ
- 設置義務は常時50人以上(安衛法18条1項・安衛令9条)。違反は50万円以下の罰金(法120条1号)
- 目的は条文上「調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため」
- 議題は法18条1項の4項目+安衛則22条の12項目の二層構造
- 委員は統括管理者等(1人・議長)/衛生管理者/産業医/衛生に経験のある労働者
- 1号以外の委員の半数は、労働者側の推薦に基づき指名(法17条4項の準用)
- 開催は毎月1回以上。それ以外の運営ルールは委員会が定める(安衛則23条1項・2項)
- 議事の概要の周知は3つの方法のいずれか(同3項)
- 記録は「意見と講じた措置の内容」+「重要な議事」を3年間保存(同4項)
- 産業医は委員会に調査審議を求めることができる(同5項)
衛生委員会に出席できる産業医をお探しの方へ
株式会社MeIXでは、衛生委員会への出席・議題の提案・面談・健康相談を、オンラインで完結する形で、全国対応で提供しています。産業医契約がない会社のご相談にも対応しています。→ お問い合わせフォームはこちら(メールでお返事します)
あわせて読みたい
- 衛生委員会はオンラインで開催できる?|通達が示す機器の3要件と運営の2要件
- 衛生管理者と産業医は何が違う?|安全衛生管理体制の条文と、両者が連動する仕組み
- 産業医の意見書には何が書かれるか|就業区分と、会社が受け取る書面の実物
- 職場巡視で産業医は何を見ているか|事務所衛生基準規則の数値と、指摘されやすい箇所
- 産業医とは?役割・仕事内容・選任義務をわかりやすく医師が解説
- ストレスチェック(解析あり・他社実施分の解析)
参考・出典
- 労働安全衛生法 第17条・第18条・第19条・第120条(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則 第22条・第23条・第23条の2・第577条の2(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法施行令 第9条(e-Gov法令検索)
本記事に記載の法令・通達は、2026年9月16日時点の内容を確認しています。法令・通達は改正されることがありますので、実務では最新の原文をご確認ください。

