この記事の要点
産業医に依頼すると何が返ってくるのか。法定の意見書は健診・長時間労働・ストレスチェックの3場面にあり、いずれも就業区分は「通常勤務/就業制限/要休業」です。診断名や検査値が書かれない理由と、受け取った会社がやることまで産業医が整理しました。

執筆・監修:小正 晃裕(医師・日本医師会認定産業医。詳しいプロフィールは記事末尾)|最終更新日:2026年10月19日

この記事でわかること

  • 法律で意見を聴くことが義務づけられている場面は3つあり、いずれも書面の骨格は同じであること
  • 就業区分は「通常勤務/就業制限/要休業」の3つで、厚労省の指針と様式例に明記されていること
  • 意見書に診断名・検査値・具体的な愁訴が書かれない理由(書かないことがルールです)
  • 意見書を受け取った会社がやらなければならないこと4つ
  • 産業医の「勧告」は意見書とは別の制度で、扱いも保存年数も違うこと

産業医に何を頼めるのか知りたい方へ(この記事の執筆元)

筆者は現役の医師・産業医です。株式会社MeIXでは、健康診断結果に基づく意見聴取・就業判定、長時間労働者やストレスチェック高ストレス者への面接指導とその意見書作成を、オンラインで完結する形で全国対応で提供しています。産業医契約がない会社の単発依頼にも対応しています。→ お問い合わせフォームはこちら(メールでお返事します)

「意見書」は3つの場面で出てきます

産業医に依頼したとき、会社が受け取る成果物のうち、法律で作成・聴取が義務づけられているものは次の3つです。

#場面意見を聴く義務の根拠会社側の措置義務
1健康診断で異常の所見があった安衛法 66条の4安衛法 66条の5
2長時間労働者への面接指導を行った安衛法 66条の8第4項安衛法 66条の8第5項
3ストレスチェック後の面接指導を行った安衛法 66条の10第5項安衛法 66条の10第6項

3つとも条文の構造がそっくりです。まず「医師の意見を聴かなければならない」、次に「医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、就業上の措置を講じなければならない」。この2段構えになっています。

たとえば健康診断の場合はこうです。

事業者は、(中略)健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。

(労働安全衛生法 第66条の4)

事業者は、前条の規定による医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、当該医師又は歯科医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会(中略)への報告その他の適切な措置を講じなければならない。

(労働安全衛生法 第66条の5第1項)

つまり「意見書をもらって終わり」ではありません。 会社には、その意見を踏まえて動く義務があります。

なお、産業医の選任義務がない50人未満の事業場でも、健康診断の意見聴取の義務は生じます。 この点は健康診断は「判定」で終わらない|医師の意見聴取は50人未満も義務で詳しく整理しています。

場面1:健康診断の結果についての意見

書式は「健康診断個人票の医師等の意見欄」

健診の意見は、独立した1枚の書面ではなく、健康診断個人票の意見欄に記入するのが法令上の建て付けです。

一 第四十三条等の健康診断が行われた日(中略)から三月以内に行うこと。

二 聴取した医師又は歯科医師の意見を健康診断個人票に記載すること。

(労働安全衛生規則 第51条の2第1項)

厚生労働省の指針も、同じことを事業者側の行動として書いています。

事業者は、医師等に対し、労働安全衛生規則等に基づく健康診断の個人票の様式中医師等の意見欄に、就業上の措置に関する意見を記入することを求めることとする。

なお、記載内容が不明確である場合等については、当該医師等に内容等の確認を求めておくことが適当である。

(厚生労働省「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」2(3)ニ)

「記載内容が不明確なら確認してよい」と指針に書かれています。 読んで意味が取れない意見書を、そのまま放置する必要はありません。

就業区分は3つ

意見の中身として、指針は次の区分(例)で判断を求めるとしています。

就業区分内容就業上の措置の内容
通常勤務通常の勤務でよいもの—
就業制限勤務に制限を加える必要のあるもの勤務による負荷を軽減するため、労働時間の短縮、出張の制限、時間外労働の制限、労働負荷の制限、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等の措置を講じる。
要休業勤務を休む必要のあるもの療養のため、休暇、休職等により一定期間勤務させない措置を講じる。

(同指針 2(3)ハ(イ)の表を転記)

このほか、作業環境管理・作業管理を見直す必要がある場合には、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、作業方法の改善その他の措置の必要性について意見を求めるものとされています(同指針 2(3)ハ(ロ))。

期限は「3月以内」

健診の種類意見聴取の期限根拠
定期健診・雇入時健診など健診が行われた日から3月以内安衛則51条の2第1項1号
労働者が自ら受けた健診の結果を提出した場合提出した日から3月以内同上(括弧書き)
深夜業従事者の自発的健診(法66条の2)書面が提出された日から2月以内安衛則51条の2第2項1号

会社は医師に情報を渡す義務があります

事業者は、医師又は歯科医師から、前二項の意見聴取を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を求められたときは、速やかに、これを提供しなければならない。

(労働安全衛生規則 第51条の2第3項)

指針は、渡すことが適当な情報として作業環境、労働時間、労働密度、深夜業の回数及び時間数、作業態様、作業負荷の状況、過去の健康診断の結果などを挙げ、さらに職場巡視の機会、判断材料が足りない場合は労働者との面接の機会を提供することが適当としています(同指針 2(3)ロ)。

健診結果の数値だけを渡されても、就業判定はできません。 意見書の質は、会社が渡す業務情報の量でほぼ決まります。

場面2:長時間労働の面接指導後の意見

書式は「面接指導結果報告書」+「就業上の措置に係る意見書」の2部構成

こちらは厚生労働省が様式例を公表しています。1枚の紙が上下2段に分かれていて、上段が報告書、下段が意見書という構成です。

上段:面接指導結果報告書

欄記入内容
対象者氏名/所属/性別/年齢
勤務の状況労働時間、労働時間以外の要因
疲労の蓄積の状況0(低)〜3(高)の4段階
その他の心身の状況0.所見なし/1.所見あり
本人への指導区分0.措置不要/1.要保健指導/2.要経過観察/3.要再面接/4.現病治療継続 又は 医療機関紹介(複数選択可)

下段:就業上の措置に係る意見書

欄記入内容
就業区分0.通常勤務/1.就業制限・配慮/2.要休業
労働時間の短縮0.特に指示なし/1.時間外労働の制限( 時間/月まで)/2.時間外労働の禁止/3.就業時間を制限/4.変形労働時間制または裁量労働制の対象からの除外/5.就業の禁止(休暇・休養の指示)/6.その他
労働時間以外の項目a. 就業場所の変更/b. 作業の転換/c. 深夜業の回数の減少/d. 昼間勤務への転換/e. その他
措置期間日・週・月 または 期間を指定
医療機関への受診配慮等—
その他(連絡事項等)—

(厚生労働省「長時間労働者、高ストレス者の面接指導に関する報告書・意見書作成マニュアル」の様式例より)

健診の就業区分と見比べてください。「通常勤務/就業制限/要休業」で共通しています。 制度は別でも、会社が受け取る判断の粒度は同じです。

記録の中身と保存年数は条文で決まっています

前項の記録は、前条各号に掲げる事項及び法第六十六条の八第四項の規定による医師の意見を記載したものでなければならない。

(労働安全衛生規則 第52条の6第2項)

「前条各号」=安衛則52条の5が挙げる次の5項目です。

#記載事項
1実施年月日
2当該労働者の氏名
3面接指導を行つた医師の氏名
4当該労働者の疲労の蓄積の状況
5前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況

これに医師の意見を加えたものを記録として作成し、5年間保存します(安衛則52条の6第1項)。

様式例の欄が、そのまま条文の記載事項に対応しています。 「疲労の蓄積の状況」という欄があるのは、条文がそれを求めているからです。

期限は「遅滞なく」

法第六十六条の八の面接指導の結果に基づく法第六十六条の八第四項の規定による医師からの意見聴取は、当該法第六十六条の八の面接指導が行われた後(中略)、遅滞なく行わなければならない。

(労働安全衛生規則 第52条の7)

長時間労働の面接指導そのもの(対象者・申出・80時間の考え方)は長時間労働の面接指導は「申出がなければ不要」ではないで扱っています。

場面3:ストレスチェック後の面接指導の意見

様式例の骨格は場面2と同じですが、2箇所だけ違います。

違い内容
「疲労の蓄積の状況」欄が「心理的な負担の状況」欄に置き換わるストレスチェック結果の A.ストレスの要因/B.心身の自覚症状/C.周囲の支援 の3つの点数を記入し、医学的所見があれば「医学的所見に関する特記事項」に記載
「職場環境の改善に関する意見」欄がある長時間労働者用の様式にはありません

「職場環境の改善に関する意見」欄は、この制度の性格をよく表しています。 ストレスチェックは個人の不調の発見だけでなく職場環境の改善が目的なので、意見書にも個人の措置とは別の欄が用意されています。マニュアルの記載例では、この欄に「仕事上の悩みについて上司や同僚に気軽に相談できる環境をつくるため、一般社員、管理職それぞれに対するメンタルヘルス教育が必要」という趣旨の記入例が示されています。

記録の記載事項は安衛則52条の18に定められており、実施年月日/労働者の氏名/面接指導を行った医師の氏名/法66条の10第5項の規定による医師の意見(+前条各号に掲げる事項)で、5年間保存です。意見聴取の期限は「面接指導が行われた後、遅滞なく」(安衛則52条の19)です。

誰が面接指導を行えるのか、実施者と実施の事務の違いについてはストレスチェックの実施者には誰がなれるかで整理しています。

3つの場面の比較

健康診断長時間労働の面接指導ストレスチェックの面接指導
意見聴取の根拠安衛法66条の4安衛法66条の8第4項安衛法66条の10第5項
期限3月以内(自発的健診は2月以内)遅滞なく遅滞なく
書式健康診断個人票の医師等の意見欄報告書+意見書(厚労省の様式例あり)報告書+意見書(厚労省の様式例あり)
就業区分通常勤務/就業制限/要休業通常勤務/就業制限・配慮/要休業通常勤務/就業制限・配慮/要休業
職場環境改善の欄作業環境管理・作業管理についての意見なしあり
記録の保存健康診断個人票を5年(安衛則51条)面接指導結果の記録を5年(安衛則52条の6)面接指導結果の記録を5年(安衛則52条の18)
措置義務の根拠安衛法66条の5安衛法66条の8第5項安衛法66条の10第6項

意見書に「書かれないこと」があります

意見書を初めて受け取った会社から、「何の病気なのか書いていない」「検査値が載っていない」と言われることがあります。

これは不備ではありません。書かないことがルールです。

ただし、診断名・検査値・具体的な愁訴の内容等の加工前の情報や、詳細な医学的情報は、「面接指導結果報告書」や「就業上の措置に係る意見書」に記載しないようにして下さい。

(厚生労働省「長時間労働者、高ストレス者の面接指導に関する報告書・意見書作成マニュアル」報告書・意見書の記載の流れ (6))

健診の指針にも、事業者側の義務として同じ趣旨の定めがあります。

事業者は、就業上の措置の実施に当たって、産業保健業務従事者(中略)以外の者に健康情報を取り扱わせる時は、これらの者が取り扱う健康情報が就業上の措置を実施する上で必要最小限のものとなるよう、必要に応じて健康情報の内容を適切に加工した上で提供する等の措置を講ずる必要があり、診断名、検査値、具体的な愁訴の内容等の加工前の情報や詳細な医学的情報は取り扱わせてはならないものとする。

(厚生労働省「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」2(5)ニ)

会社が就業上の措置を決めるために必要なのは「何をどこまで制限すべきか」であって、病名ではありません。 意見書はその必要最小限に絞って書かれます。

なお、ストレスチェックの面接指導について、マニュアルは医師が労働者に次のように説明する例を示しています。

「この面談については、報告書を作成することになっています。報告書に書いてもらいたくない内容があればおっしゃってください。ただし、あなたの健康を守るために不可欠であれば、事業者に伝えなければならない場合があります。」

(同マニュアル 個人情報の取扱いに関する留意事項)

意見書を受け取った会社がやること

1. 意見を勘案して、必要なら措置を講じる(義務)

3つの場面すべてで、条文は「意見を勘案し、その必要があると認めるときは(中略)措置を講じなければならない」と定めています。

「勘案」であって「そのとおりにする」ではありません。 ただし後述のとおり、医師の意見と著しく異なる措置は不利益取扱いとして問題になり得ます。

2. あらかじめ本人の意見を聴く(努力義務)

事業者は、(3)の医師等の意見に基づいて、就業区分に応じた就業上の措置を決定する場合には、あらかじめ当該労働者の意見を聴き、十分な話合いを通じてその労働者の了解が得られるよう努めることが適当である。

なお、産業医の選任義務のある事業場においては、必要に応じて、産業医の同席の下に労働者の意見を聴くことが適当である。

(同指針 2(4)イ)

3. 衛生委員会等へ報告する(ただし加工して)

条文は措置の一つとして「当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会(中略)への報告」を挙げています。指針は報告のしかたに条件を付けています。

なお、この報告に当たっては、労働者のプライバシーに配慮し、労働者個人が特定されないよう医師等の意見を適宜集約し、又は加工する等の措置を講ずる必要がある。

(同指針 2(4)ロ)

意見書をそのまま委員会に配ってはいけません。 衛生委員会の運営については衛生委員会はオンラインで開催できる?もあわせてご覧ください。

4. 記録を保存する

前掲の比較表のとおり、いずれも5年間です。

やってはいけないこと:不利益な取扱い

指針は、一般的に合理的とはいえないため事業者が行ってはならないものを列挙しています。

#行ってはならない取扱い
①医師の意見を聴取すること等の法令上求められる手順に従わず、不利益な取扱いを行うこと
②医師の意見とはその内容・程度が著しく異なる等、意見を勘案し必要と認められる範囲内となっていないもの、または労働者の実情が考慮されていないものなど、法令上の要件を満たさない内容の不利益な取扱いを行うこと
③健康診断の結果を理由として、(a) 解雇/(b) 有期雇用者の契約を更新しない/(c) 退職勧奨/(d) 不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換または職位の変更/(e) その他の労働契約法等に違反する措置を行うこと

(同指針 2(4)ハ(ロ)を要約。原文は「不利益な取扱いの理由が以下に掲げる理由以外のものであったとしても、実質的に以下に掲げるものに該当するとみなされる場合には、当該不利益な取扱いについても、行ってはならない」としています)

②は見落とされがちです。 「要休業」の意見に対して解雇する、「時間外労働は月20時間まで」の意見に対して全業務から外す、といった対応は、医師の意見と程度が著しく異なるものとして問題になり得ます。

措置は解除できます

なお、就業上の措置を講じた後、健康状態の改善が見られた場合には、医師等の意見を聴いた上で、通常の勤務に戻す等適切な措置を講ずる必要がある。

(同指針 2(4)ハ(イ))

就業制限はかけたら終わりではなく、外すときにも医師の意見が要るという建て付けです。

「意見書」と「勧告」は別物です

産業医が会社に出す書面には、意見書のほかに勧告があります。混同されやすいので整理します。

産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない。

(労働安全衛生法 第13条第5項)

意見書(意見聴取)勧告
根拠安衛法66条の4/66条の8第4項/66条の10第5項安衛法13条5項
起点会社が意見を聴く(会社の義務)産業医が発意する
対象特定の労働者の就業上の措置労働者の健康管理等全般
事前手続—産業医はあらかじめ勧告の内容について事業者の意見を求める(安衛則14条の3第1項)
会社の義務勘案して必要な措置尊重しなければならない(法13条5項)/衛生委員会等への報告(法13条6項・遅滞なく)
記録面接指導結果の記録を5年 等勧告の内容と、踏まえて講じた措置の内容(講じない場合はその旨と理由)を3年間保存(安衛則14条の3第2項)

勧告は「措置を講じない場合はその旨と理由まで記録に残す」点が特徴です。 産業医の役割全体については産業医とは?役割・仕事内容・選任義務で解説しています。

復職時の「意見書」は法定ではありません

休職者の復職判断の場面でも意見書という言葉が使われますが、これは安衛法に根拠のある3つの意見聴取とは別です。厚生労働省の手引きに沿った実務上の書面で、法定の様式や期限はありません。

復職判断の進め方は「主治医が復職可と書いているので明日から」は危ないで、厚労省の手引きに沿って整理しています。

治療をしながら働く従業員への対応(両立支援)についても、主治医と産業医が別々の書面を出す場面があります。こちらは治療と仕事の両立支援が2026年4月から努力義務になりましたをご覧ください。

よくある質問

Q. 産業医と契約していませんが、意見書だけ依頼できますか

できます。安衛法66条の4は「医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない」と定めており、産業医であることを要件にしていません。厚生労働省の指針は、産業医の選任義務のない事業場について「労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師等から意見を聴くことが適当であり、こうした医師が労働者の健康管理等に関する相談等に応じる地域産業保健センターの活用を図ること等が適当である」としています。

Q. 意見書に病名が書かれていません。不備ではないのですか

不備ではありません。厚生労働省のマニュアルは「診断名・検査値・具体的な愁訴の内容等の加工前の情報や、詳細な医学的情報は(中略)記載しないようにして下さい」としています。指針も、産業保健業務従事者以外の者にこれらを取り扱わせてはならないと定めています。会社が就業上の措置を決めるために必要な情報に絞って書かれています。

Q. 書かれている内容の意味が分かりません。医師に聞いてよいですか

差し支えありません。厚生労働省の指針は「記載内容が不明確である場合等については、当該医師等に内容等の確認を求めておくことが適当である」としています。

Q. 医師の意見どおりにしなければいけませんか

条文は「意見を勘案し、その必要があると認めるときは(中略)措置を講じなければならない」という書き方で、意見にそのまま従うことまでは求めていません。ただし指針は、「医師の意見とはその内容・程度が著しく異なる等医師の意見を勘案し必要と認められる範囲内となっていないもの」による不利益な取扱いを、行ってはならないものとして挙げています。措置を決める際は、あらかじめ本人の意見を聴き、十分な話合いを通じて了解が得られるよう努めることが適当とされています。

Q. 意見聴取に期限はありますか

健康診断は「健診が行われた日から3月以内」(安衛則51条の2第1項1号)、深夜業従事者の自発的健診は「書面が提出された日から2月以内」(同2項1号)です。長時間労働の面接指導とストレスチェックの面接指導は、いずれも「面接指導が行われた後、遅滞なく」(安衛則52条の7、52条の19)です。

Q. 意見書は衛生委員会に出さなければいけませんか

条文は、事業者が講ずべき措置の一つとして「当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告」を挙げています。ただし指針は、報告に当たって「労働者のプライバシーに配慮し、労働者個人が特定されないよう医師等の意見を適宜集約し、又は加工する等の措置を講ずる必要がある」としています。意見書そのものを配布する形は想定されていません。

まとめ

  • 法律で意見聴取が義務づけられている場面は健康診断・長時間労働の面接指導・ストレスチェックの面接指導の3つ
  • いずれも構造は「医師の意見を聴く → 勘案して就業上の措置を講じる」の2段構え
  • 就業区分は3つとも「通常勤務/就業制限(・配慮)/要休業」
  • 健診は健康診断個人票の意見欄、面接指導は報告書+意見書が書式
  • 期限は健診が3月以内、面接指導は遅滞なく
  • 診断名・検査値・具体的な愁訴は書かれません(書かないことがルール)
  • 受け取った会社は、勘案して措置/本人の意見を聴く/加工して衛生委員会等へ報告/5年保存
  • 医師の意見と著しく異なる不利益な取扱いは、指針が明確に禁じています
  • 産業医の勧告(法13条5項)は別制度。尊重義務・衛生委員会への報告・3年保存

意見書の依頼先をお探しの方へ

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参考・出典

  • 労働安全衛生法 第13条・第66条の4・第66条の5・第66条の8・第66条の10(e-Gov法令検索)
  • 労働安全衛生規則 第14条の3・第51条・第51条の2・第52条の5・第52条の6・第52条の7・第52条の18・第52条の19(e-Gov法令検索)
  • 厚生労働省「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成8年10月1日 健康診断結果措置指針公示第1号、改正 平成29年4月14日 同公示第9号)
  • 厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室「長時間労働者、高ストレス者の面接指導に関する報告書・意見書作成マニュアル」

本記事に記載の法令・通達は、2026年9月16日時点の内容を確認しています。法令・通達は改正されることがありますので、実務では最新の原文をご確認ください。