執筆・監修:小正 晃裕(医師・日本医師会認定産業医。詳しいプロフィールは記事末尾)|最終更新日:2026年10月24日

この記事でわかること

  • 東京の企業が産業医を探す4つの方法と、それぞれの向き・不向き
  • 費用の決まり方と、従業員50人未満の会社が使える無料の選択肢
  • 「訪問してくれる産業医」を東京で確保するときの注意点

東京で「訪問できる産業医」をお探しの方へ(この記事の執筆元)

筆者は現役の医師・産業医です。当社MeIXは、関東および近畿地方を中心に嘱託産業医を月5万円〜(税別)、オンラインのスポット面談を1回 20,000円〜で提供しています。従業員50人到達前の準備段階のご相談も歓迎です。→ お問い合わせフォームはこちら(メールでお返事します)

まず確認:自社に産業医が必要か

常時使用する労働者が50人以上となった事業場では、産業医を選任すべき事由が発生した日から14日以内に産業医を選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ選任報告を行う必要があります(労働安全衛生法第13条・労働安全衛生規則第13条)。事業場単位のカウントなので、東京本社が50人なら、東京の事業場に産業医が必要です。

50人未満の場合は選任義務はありませんが、メンタルヘルス対応や健診後のフォローの必要性は規模に関係なく生じます。後述のとおり、無料・低コストの選択肢もあります。

産業医制度の基本は、当コラムの「産業医とは?役割・仕事内容・選任義務を医師がわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

東京の企業が産業医探しでつまずきやすい理由

東京には、本社機能を置く企業、ITスタートアップ、サービス業、製造・物流など、さまざまな業種・規模の企業があります。産業医を探すときは、次の点がハードルになることがあります。

  • 選択肢が多く、比較の軸が定まりにくい──紹介サービスや事業者が多い分、料金体系や業務範囲がそれぞれ異なり、横並びで比べにくいことがあります
  • 複数拠点・複数フロアの事業場をどう扱うか──産業医の選任は事業場単位です。本社と支社・営業所が別の事業場になる場合、拠点ごとの体制を考える必要があります
  • 50人の壁を越えるタイミングが読みにくい──産業医は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任する必要があります(労働安全衛生規則第13条)。採用拡大中の企業では、人数が50人に達してから探し始めると間に合わないことがあります
  • 業種によって求めるものが違う──業種によって、産業医に相談したいことの重心が変わります(例:IT・スタートアップはメンタルヘルスと長時間労働、製造・物流は現場巡視と作業環境、サービス業はシフト勤務と繁閑差)

こうした事情を踏まえて、選択肢を整理します。

東京で産業医を探す4つの方法

方法1:地域の医師会に相談する

東京都医師会・地区医師会に相談し、地域の認定産業医を紹介してもらえる場合があります。

  • 向いている会社:地元とのつながりを重視する会社、時間をかけて探せる会社
  • 注意点:必ずしもすぐに紹介されるとは限らず、条件(訪問頻度・報酬・業務範囲)の調整は自社で行う必要があります

方法2:産業保健総合支援センター・地域産業保健センターを使う(50人未満なら無料の支援あり)

各都道府県には産業保健総合支援センター(さんぽセンター)が設置されており、東京には東京産業保健総合支援センター(千代田区)があります。事業者向けの相談対応や研修を無料で提供しています。

特に従業員50人未満の事業場は、地域産業保健センター(地さんぽ)で、労働者の健康管理(メンタルヘルスを含む)に関する相談、健診結果についての医師の意見聴取、長時間労働者・高ストレス者への面接指導、個別訪問による産業保健指導などを無料で利用できます。利用回数には上限があり(1事業場あたり2回まで、労働者1人あたり2回まで)、事業場の所在地を管轄する窓口への事前の申込が必要です。窓口の一覧は変更されることがあるため、最新の情報は東京産業保健総合支援センターの公式サイトでご確認ください。

  • 向いている会社:50人未満で、まず無料でできることから始めたい会社
  • 注意点:利用回数や対応範囲に限りがあり、継続的・包括的な産業保健体制の代わりにはなりません

方法3:全国型の産業医紹介サービスを使う

全国展開の大手産業医サービス会社に依頼する方法です。医師のネットワークが広く、選任を急ぐ場合の対応力は高い一方、東京の担当医師が確保できるか・訪問頻度や交通費の扱いは案件によります。

  • 向いている会社:選任を急ぐ会社、複数拠点(地方拠点含む)をまとめて依頼したい会社
  • 注意点:担当医師が固定されるか、自社の業種・社風を理解した対応が受けられるかは事前に確認を

方法4:東京・関東を訪問対象とする産業医と直接またはサービス経由で契約する

東京・関東を訪問対象とする産業医・産業医サービスと契約する方法です。訪問日程の相談がしやすく、緊急時の対応や、業種・社風を踏まえた助言を受けやすいのが強みです。

当社(株式会社MeIX)もこの選択肢のひとつです。当社では、関東および近畿地方を中心に、嘱託産業医を月5万円から、オンライン完結のスポット面談を基本料金 20,000円〜(業務時間30分まで)から提供しています(税別・料金の詳細はこちら)。

東京で産業医を選ぶときの費用比較|月額・訪問料・スポット面談の違い

探し方費用(税別)向いている会社注意点
地域産業保健センター無料50人未満回数・範囲に制限
医師会・直接契約医師・契約条件ごとに個別(訪問時間・回数で変わる)地域性重視条件交渉・契約書は自社対応
全国型紹介会社各社の公表料金を確認(紹介手数料等が別途かかる場合あり)急ぎ・多拠点担当医の拠点・固定を確認
首都圏を訪問対象とするサービス各社の公表料金を確認訪問重視交通費・面談上限を確認
MeIX(当社)嘱託産業医 月5万円〜/スポット面談1回 20,000円〜東京・関東で柔軟に相談したい会社訪問対応は関東および近畿地方(他地域は要相談)

金額差は主に「業務範囲」(法定業務のみか、健康相談・復職支援・ストレスチェックまで含むか)と「訪問頻度」で生じます。見積もりを比較するときは、月額だけでなく「訪問1回あたりの滞在時間」「面談件数の上限」「メール相談の可否」を揃えて比べてください。

「月5万円」に何が含まれるのか(当社の例)

料金を比べるときは、金額よりも「何が含まれるか」が重要です。参考に、当社の嘱託産業医(月5万円〜・税別)に含まれる業務を示します。

  • 月1回の職場巡視
  • 衛生委員会への出席(委員として)
  • 長時間労働者への面接指導
  • ストレスチェック高ストレス者への面接指導
  • 健康診断結果に基づく就業判定・意見(意見書の作成を含む)
  • 月次活動報告書

健康相談・復職や両立支援の面談・メール相談は、月の対応時間の中で対応します(対応時間に応じてお見積り)。ストレスチェックの実施者の職務は月額に含み、集団分析の報告を付ける場合は解析分を別に契約する設計です。他社と比較する際も、この粒度で「含まれる/含まれない」を確認することをおすすめします。

全国型紹介会社と地域を絞ったサービスの違い

観点全国型紹介会社訪問エリアを絞ったサービス(当社等)
医師の数多い(全国ネットワーク)限られる
担当医師の拠点案件による(遠方のことも)事前に確認(当社は関東および近畿地方を中心に訪問)
訪問のしやすさ日程調整に時間がかかる場合あり対応エリア内なら相談しやすい
地域事情の理解一般的対応エリアの企業事情に慣れている
向いているケース全国多拠点・とにかく急ぎ関東・近畿中心・訪問と相談のしやすさ重視

どちらが優れているかではなく、自社の拠点構成と重視ポイントで選ぶのが正解です。

選任までのモデルスケジュール(50人到達が見えている会社向け)

時期やること
50人到達の3ヶ月前候補ルートの洗い出し(本記事の4つの方法)/予算の目安決め
2ヶ月前2〜3社(者)から見積もり取得/面談または顔合わせで相性確認
1ヶ月前契約条件の確定(訪問頻度・業務範囲・相談体制)/契約締結
到達月選任(14日以内)/労基署へ選任報告/衛生委員会の設置準備
到達翌月〜初回訪問・職場巡視/年間計画の策定

見積もり比較チェックリスト

複数の候補を比べるときは、月額料金だけでなく以下を揃えて比較してください。

  • 訪問1回あたりの滞在時間(60分か、90分か)
  • 面談件数の上限(月何件まで含まれるか、超過時の料金)
  • 訪問外の相談体制(メール相談の可否・返信目安)
  • ストレスチェック・高ストレス者面接指導の扱い(含む/別料金)
  • 担当医師の固定(毎回同じ医師か)と拠点(どこから来るか)
  • 契約期間の縛りと解約条件

想定ケース:東京の会社はこう選んでいる

ケース1:東京都内のIT企業(従業員55名)──採用拡大で選任義務が発生。嘱託産業医(月1回・巡視+衛生委員会+面談2件)+ストレスチェックを一括で委託し、嘱託産業医(月5万円〜)+ストレスチェック年契約で体制を整備。ポイントは「面談をオンライン併用にして訪問時間を巡視と委員会に集中させた」こと。

ケース2:従業員30名のサービス業(東京都内)──選任義務はないが、健診後のフォローとメンタル相談先が欲しいという動機。地域産業保健センターの無料サービスを併用しつつ、月1回のオンライン産業保健サービス(産業医の選任を伴わない契約・月3万円〜)で医師への相談ルートを確保。50人到達時にそのまま嘱託産業医へ移行できる設計に。

※いずれも典型例として構成した想定ケースです。

東京で「訪問できる産業医」を確保するときの3つの注意点

  1. 担当医師の拠点を確認する──契約先の会社が全国対応でも、実際に来る医師が東京近郊にいるとは限りません。訪問のたびに遠方から来る場合、日程調整が難しくなりがちです
  2. 訪問とオンラインの組み合わせを設計する──毎月の職場巡視・委員会は訪問、面談の一部はオンライン、といった組み合わせで費用と質のバランスを取れます
  3. 50人直前なら早めに動く──採用が進んでいる会社は、50人到達の2〜3ヶ月前から探し始めると、14日以内の選任期限に余裕を持って対応できます

よくある質問

Q1. 東京23区外や、神奈川・埼玉・千葉でも訪問してもらえますか?

A1. 訪問先の所在地によって個別にご相談ください。訪問頻度や交通費の設計を含めてご提案します。当社は関東および近畿地方を中心に訪問対応しています。オンライン産業保健サービスであれば地域を問わず対応可能です。

Q2. 東京本社のほか大阪・名古屋にも拠点があります。まとめて頼めますか?

A2. 産業医の選任は事業場単位なので、50人以上の拠点ごとに体制が必要です。当社は関東および近畿地方を中心に訪問対応しているため、この地域内の複数拠点を一括でお受けできます。対応エリア外の50人未満の拠点はオンライン産業保健サービスで補完する設計が可能です。

Q3. いま契約している産業医から乗り換えられますか?

A3. 可能です。現契約の解約条件(予告期間)を確認のうえ、引継ぎのスケジュールを新旧で重ならないよう設計します。健診・ストレスチェックの時期を避けて切り替えるのがスムーズです。

Q4. 従業員30人ですが、何から始めればよいですか?

A4. まずは地域産業保健センターの無料サービスの確認と、月数万円のオンライン産業保健サービスやスポット面談の比較をおすすめします。今後、従業員50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されるため(令和10年〔2028年〕4月1日施行)、早めの体制づくりが安心です。

まとめ

東京で産業医を探す方法は、主に医師会・産業保健総合支援センター・全国型紹介サービス・訪問エリアを絞ったサービスの4つがあります。自社の規模・急ぎ度合い・求める業務範囲で選ぶのが失敗しないコツです。

株式会社MeIXは、メールでのご相談に、貴社に最適な選択肢を率直にお答えします。お問い合わせはこちら。

なお、リモート(オンライン)産業医であれば、訪問エリアにかかわらず全国どこでも対応できます。50人未満の事業場や単発の面談は、オンラインのみで完結できます。詳しくはリモート(オンライン)産業医とはをご覧ください。

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参考・出典 労働安全衛生法・労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)/東京産業保健総合支援センター/地域産業保健センター(こころの耳・厚生労働省)

本記事に記載の法令・通達は、2026年10月16日時点の内容を確認しています。法令・通達は改正されることがありますので、実務では最新の原文をご確認ください。