この記事でわかること

  • 産業医の選任義務が発生する「常時50人以上」の正確な数え方
  • 誰を数え、誰を数えないか——正社員・パート・日雇・派遣・短期雇用の扱い
  • 「事業場規模のカウント」と「健診の対象者」はまったく別物であること
  • 選任の期限(14日以内)と、労働基準監督署へ報告する8項目
  • 選任できない人と、嘱託でよい規模・専属が必要な規模
  • 選任を怠った場合の罰則と、実務上のリスク

「そろそろ産業医が必要かも」という方へ(この記事の執筆元)

筆者は現役の医師・産業医です。株式会社MeIXでは、嘱託産業医の受託を、訪問・オンラインの両方で提供しています。「うちは何人で数えれば50人なのか」「いつまでに何をすればよいのか」というご相談だけでも構いません。→ 30分の無料オンライン相談はこちら

従業員数が増え「そろそろ産業医が必要かもしれない」という段階の経営者・人事担当者に向けて、選任義務の判断基準を現役産業医が整理します。産業医の役割や仕事内容そのものは「産業医とは?役割・仕事内容・選任義務を医師がわかりやすく解説」で解説していますので、あわせてご覧ください。

産業医の選任義務は「常時50人以上」から

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医を選任する義務があります。

法第十三条第一項の政令で定める規模の事業場は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場とする。

(労働安全衛生法施行令 第5条)

ポイントは2つです。

  1. 「常時50人以上」であること
  2. 判定が事業場(拠点)単位であること

会社全体の人数ではなく、オフィス・工場・店舗といった拠点ごとに数えます。全社100人でも、本社40人・支社35人・営業所25人のように、どの事業場も50人未満であれば選任義務は生じません。逆に1つの事業場が50人に達したら、その事業場に産業医が必要です。

【核】「常時50人」の数え方

ここが最も問い合わせの多い部分です。 条文と公的資料で確認できる範囲を、順に整理します。

まず「常時」とは何か

厚生労働省は、安全衛生に関する質疑応答集で次のように答えています。

常時使用する労働者の数は、日雇労働者、パートタイマー等の臨時的労働者の数を含めて、常態として使用する労働者の数をいいます。

(厚生労働省「事業場の規模を判断するときの『常時使用する労働者の数』はどのように数えるのでしょうか。」)

「常態として使用する」かどうかが基準です。

産業保健総合支援センターの資料は、これをさらに噛み砕いて次のように書いています。

労働安全衛生法での定義:常時使用する者とは勤務日の頻度、勤務時間の多少に係らず常態的に雇用されている者

(和歌山産業保健総合支援センター「産業医の選任義務など『常時50人以上』や『在籍労働者数』のカウントする対象者」)

「週2日しか来ないから数えない」「1日3時間だけだから数えない」は、この定義に当てはまりません。

誰を数えるか

区分事業場規模のカウント根拠
正社員含める
嘱託含める産業保健総合支援センター資料
パート・アルバイト含める厚生労働省の質疑応答「パートタイマー等の臨時的労働者の数を含めて」
1日の勤務時間が短い人含める「勤務時間の多少に係らず」
週の出勤日数が少ない人含める「勤務日の頻度に係らず」
日雇労働者含める厚生労働省の質疑応答「日雇労働者…を含めて」
派遣労働者含める(派遣先・派遣元の双方で)厚生労働省の質疑応答/厚生労働省の派遣向け資料

繁忙期だけの一時的な増員ではなく、日常的にその人数が働いている状態かどうかで判断します。

派遣労働者は「両方」で数えます

ここが最も間違えやすいところです。

派遣中の労働者については、事業場規模の算定に当たっては、派遣先の事業場及び派遣元の事業場の双方について、派遣中の労働者の数を含めて、常時使用する労働者の数を算出するものとされています。

(厚生労働省 安全衛生に関する質疑応答集)

厚生労働省の派遣労働者向け資料も、同じ整理です。

選任又は設置要件となる労働者数については、派遣労働者は派遣先の労働者としてもカウントされますので、派遣先が雇用する労働者と派遣労働者の合計となります。

(厚生労働省「派遣労働者に係る労働安全衛生管理」第4章)

つまり、同じ1人の派遣労働者が、派遣先の50人にも、派遣元の50人にも入ります。 どちらか一方ではありません。

自社で40人を雇用し、派遣を12人受け入れている事業場は、合計52人で選任義務が発生します。

ただし、安全管理者と安全委員会だけは例外です

ただし、安全管理者と安全委員会については選任・設置義務が派遣先事業場のみに課せられていますので、派遣先の事業場について、派遣中の労働者の数を含めて算出します。

(厚生労働省 安全衛生に関する質疑応答集)

産業医・衛生管理者・衛生委員会は双方、安全管理者・安全委員会は派遣先のみ、という整理です。

条文と公的資料で確認できなかったもの

次の3つについては、条文にも厚生労働省の公表資料にも、明確な記載を見つけられませんでした。

区分状況
出向者(在籍出向)出向元・出向先のどちらで数えるかについて、確認できる公的資料が見つかりませんでした
役員そもそも「労働者」に当たるかが前提になります。使用人兼務役員のように労働者性が問題になる場合があります
休職者「常態として使用する労働者」に含めるかについて、確認できる公的資料が見つかりませんでした

厚生労働省の質疑応答も、次の一文で結ばれています。

不明な点については、所轄の労働基準監督署にお問い合わせください。

該当する人がいて、かつ50人前後の規模なら、監督署に確認するのが確実です。 「たぶん数えなくてよい」で進めて、あとから選任義務違反を指摘されるほうが痛手になります。

短期雇用・季節労働者は、資料によって読み取りが分かれます

産業保健総合支援センターの資料には、注意すべき点があります。

同資料の注記には「ただし、2か月以内の雇用者、4か月以内の季節労働者は除いて良い」とある一方、同じ資料の表では、産業医・衛生管理者の選任義務事業場の判定において、2か月未満の予定で雇用される者・4か月以内の季節労働者の欄が「対象」になっています。

この2つは読み取りが分かれます。 該当者がいて50人前後の場合は、所轄の労働基準監督署に確認してください。

【重要】「規模のカウント」と「健診の対象者」は別物です

ここを混同している会社が非常に多いところです。

事業場の規模を数えるときは幅広く含めるのに、健康診断やストレスチェックを「受ける人」の範囲は、それより狭くなります。

項目派遣労働者週の所定労働時間が通常の労働者の3/4未満の短時間労働者
事業場規模のカウント(産業医・衛生管理者の選任義務、ストレスチェック実施義務、定期健診結果報告義務)含める(派遣先・派遣元の双方)含める
定期健康診断の対象者派遣元が実施(派遣先の対象ではない)対象外(3/4以上なら対象)
ストレスチェックの実施対象者派遣元対象外
特殊健康診断派遣先が実施常時従事するなら対象

(和歌山産業保健総合支援センター資料および厚生労働省「派遣労働者に係る労働安全衛生管理」から整理)

言い換えると、こうなります。

  • 派遣労働者は、人数には入れるが、一般健康診断は派遣先が実施しない
  • 週の所定労働時間が3/4未満のパートは、人数には入れるが、定期健診の対象にはならない

「50人を超えたので、全員に健診を受けさせなければ」と考えると、対象でない人まで巻き込むことになります。

派遣労働者の健診は、誰が責任を負うのか

派遣労働者の一般的な健康管理は派遣元、就業に伴う具体的な健康管理は派遣先が行わなければならず、その基本となる健康診断についても、一般健康診断は派遣元が、有害業務に常時従事する派遣労働者に対する特殊健康診断は派遣先が責任を負います。

(厚生労働省「派遣労働者に係る労働安全衛生管理」第4章)

同資料は、次のようにも書いています。

一般健康診断の実施義務は派遣元にありますが、派遣先が自ら雇用する労働者に実施する一般健康診断に併せて派遣労働者にも受診させることは、派遣労働者の受診率を向上させるためには望ましいことです。

義務ではないが、望ましい。 ここは各社の判断です。

3/4未満でも「実施が望ましい」とされる範囲があります

産業保健総合支援センターの資料は、定期健康診断について次の注記を付けています。

週当たり通常の勤務者の1/2以上勤務者は実施が望ましい

3/4未満でも、1/2以上なら実施が望ましい。 法定義務ではありませんが、判断材料になります。

事業場ごとに数えます

産業医の選任義務は、会社単位ではなく事業場単位です。

ケース選任義務
全社100人/本社40人・支社35人・営業所25人どの事業場にも生じません
全社60人/本社55人・支社5人本社に生じます
全社200人/本社50人・工場150人両方に生じます(それぞれの事業場に選任)

「本社に産業医がいるから支社も大丈夫」ではありません。 逆に、「支社が小さいから何もしなくてよい」でもありません(50人未満の事業場にも健康管理の努力義務があります)。

支社・営業所の扱いについては、本社に産業医はいるが支社にはいない|50人未満の拠点で不調者が出たときの対応 で詳しく解説しています。

いつから?──選任の起算日と14日の期限

産業医の選任義務は、選任すべき事由が発生した日(=常時50人に達した日)から14日以内に選任しなければなりません。

法第十三条第一項の規定による産業医の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。

一 産業医を選任すべき事由が発生した日から十四日以内に選任すること。

(労働安全衛生規則 第13条第1項第1号)

14日は、探し始めてから契約するまでの期間としては短いです。 50人が見えている段階で候補を探し始めるのが安全です(探し方は京都で産業医を探す方法の記事で解説しています)。

選任したら、監督署に何を報告するのか

選任して終わりではありません。 選任後は、遅滞なく所轄の労働基準監督署長に報告します(労働安全衛生規則 第13条第2項)。

報告する事項は、条文で次のように定められています。

#報告事項
1事業場の名称・所在地・業種など(安衛則2条2項1〜3号・8号に掲げる事項)
2有害業務に常時従事する労働者の数
3産業医の氏名、生年月日及び選任年月日
4産業医が要件のいずれに該当するかの別及び医籍の登録番号
5産業医の専門科名
6専属であるか否かの別及び他の事業場に勤務している場合はその事業場の名称
7前任者がいる場合はその氏名及び辞任・解任・退任の年月日
8初めて産業医を選任した場合はその旨

報告は電子情報処理組織を使用して行い、要件を満たすことを証明できる電磁的記録を添えます(同項)。

辞任・解任のときも報告が必要です

これは見落とされがちです。

事業者は、産業医が辞任したとき又は産業医を解任したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。

(労働安全衛生規則 第13条第4項)

衛生委員会への報告が義務です。 さらに、監督署長への報告も必要です(同条第5項)。ただし、後任者の選任報告をもって代えることができるとされています。

「産業医が変わった」ときは、監督署と衛生委員会の両方に手当てが要ると覚えておいてください。

誰を選任できないか

条文は、産業医に選任できない人を明記しています。

次に掲げる者(イ及びロにあつては、事業場の運営について利害関係を有しない者を除く。)以外の者のうちから選任すること。

イ 事業者が法人の場合にあつては当該法人の代表者

ロ 事業者が法人でない場合にあつては事業を営む個人

ハ 事業場においてその事業の実施を統括管理する者

(労働安全衛生規則 第13条第1項第2号)

医師である社長が、自社の産業医を兼ねることはできません。 産業医の独立性・中立性を確保するための規定です。

「ハ」の「実施を統括管理する者」には、工場長・事業所長などが該当します。 医師免許を持つ役員が現場を統括している場合も、この規定に当たらないか確認が必要です。

嘱託でよい規模・専属が必要な規模

50〜999人の事業場は、嘱託産業医(月1回訪問等の非常勤)の選任で法令上は足ります。一方、次の規模では専属産業医(その事業場に専属で勤務する医師)の選任が必要です。

事業場の規模選任の内容
49人以下選任義務なし(健康管理の努力義務あり)
50〜999人嘱託産業医でよい(下記の有害業務に常時500人以上が従事する場合は専属が必要)
1,000人以上専属産業医1人以上
3,001人以上専属産業医2人以上

(労働安全衛生規則 第13条第1項第3号・第4号)

「有害業務に常時500人以上」の中身

条文は、専属が必要になる業務を14種類列挙しています。

#業務
多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
異常気圧下における業務
さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
重量物の取扱い等重激な業務
ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
坑内における業務
深夜業を含む業務
水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
鉛、水銀、クロム、砒素等の有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
病原体によって汚染のおそれが著しい業務
その他厚生労働大臣が定める業務

(労働安全衛生規則 第13条第1項第3号)

注目していただきたいのは「ヌ 深夜業を含む業務」です。 製造業や化学物質を扱う職場だけの話ではありません。24時間稼働の物流・小売・介護・コールセンターなども、深夜業に常時500人以上が従事していれば専属産業医が必要になります。

専属は雇用(採用)に近い話になるため、探し方も費用もまったく別物になります。 成長中の会社は「いま何人か」だけでなく「1〜2年後に何人か」で体制を設計しておくと、規模の壁を越えるたびに慌てずに済みます。

誰を選任できる?──産業医の要件

産業医は医師であれば誰でもよいわけではなく、労働者の健康管理等に必要な医学知識について一定の要件を備えた医師でなければなりません(労働安全衛生法第13条第2項・労働安全衛生規則第14条第2項)。実務上もっとも多いのは、日本医師会の産業医学基礎研修を修了した「日本医師会認定産業医」です。

選任を怠るとどうなる?罰則と実務リスク

産業医の選任義務に違反した場合、50万円以下の罰金の対象となります(労働安全衛生法第120条)。ただちに罰金が科されるかは個別事情によりますが、選任義務違反が罰則の対象であることに変わりはありません。

罰則以上に実務で重いのは、次の2つのリスクです。

  1. 労働基準監督署の調査で必ず確認される基本項目であること
  2. 従業員がメンタル不調や過重労働で健康を害したときに、会社の安全配慮義務(労働契約法第5条)が問われる場面で、「産業医を選任していなかった」という事実が会社に不利な事情として働くこと

50人になると産業医「以外」の義務も一斉に発生する

常時50人以上になると、産業医の選任だけでなく、衛生管理者の選任、衛生委員会の設置(毎月開催)、ストレスチェックの年1回実施、定期健康診断結果の労基署報告など、複数の義務がまとめて発生します。

「50人の壁」は人事体制の節目として、一体で準備するのが効率的です。 良い産業医は、これら周辺義務の立ち上げについても助言してくれます。

そして、これらの義務が発生するかどうかの人数も、本記事で整理した数え方で判定します。 つまり、派遣労働者やパートを含めて50人に達していれば、衛生委員会もストレスチェックも同時に始まります。

なお、労働者数50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施義務が拡大されます(令和10年〔2028年〕4月1日施行)。50人未満の会社も無関係ではありません(詳細は「【2028年4月施行】従業員50人未満にもストレスチェック義務化へ」の記事をご覧ください)。

産業医を選任したら最初にやること(チェックリスト)

  • 労働基準監督署へ「産業医選任報告」を提出(選任後、遅滞なく/報告事項は上記8項目)
  • 衛生委員会に産業医をメンバーとして加える/開催日と訪問日を揃える
  • 産業医への基本情報提供(組織図・業務内容・勤務形態・直近の健診概況・長時間労働の状況・休職者の有無)
  • 年間計画の策定(健診・ストレスチェック・巡視・セミナーの重点)
  • 従業員への周知(産業医の紹介・健康相談の申込方法・相談が人事評価に影響しないこと)

よくある質問

Q. 50人ちょうどになったら、すぐ産業医が必要ですか

はい。常時50人に達した日から14日以内の選任が必要です(安衛則13条1項1号)。50人が見えている段階で候補を探し始めるのが安全です。

Q. 複数拠点があります。全社では50人を超えますが、各拠点は50人未満です

産業医の選任義務は事業場単位です。 各拠点が50人未満なら選任義務は生じません。ただし、いずれかの拠点が50人に達すれば、その拠点に必要になります。

Q. パート・アルバイトも50人に数えるのですか

数えます。 厚生労働省の質疑応答は「日雇労働者、パートタイマー等の臨時的労働者の数を含めて、常態として使用する労働者の数をいいます」としています。勤務日数や勤務時間の多少は問いません。

Q. 派遣社員は派遣先・派遣元のどちらで数えるのですか

双方で数えます。 厚生労働省の質疑応答は「派遣先の事業場及び派遣元の事業場の双方について、派遣中の労働者の数を含めて」としています。ただし、安全管理者と安全委員会は派遣先のみです。

Q. 派遣社員の健康診断は、受け入れ側が実施するのですか

一般健康診断は派遣元です。 有害業務に常時従事する場合の特殊健康診断は派遣先が責任を負います(厚生労働省「派遣労働者に係る労働安全衛生管理」)。人数には入れるが、一般健診は実施しない——この区別に注意してください。

Q. 出向者や役員は数に入りますか

条文にも厚生労働省の公表資料にも、明確な記載を見つけられませんでした。 役員については、そもそも「労働者」に当たるかが前提になります。該当者がいて50人前後の場合は、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

Q. 一時的に50人を超えただけでも選任は必要ですか

「常時」使用しているかどうかで判断します。 短期的・一時的な増員か、日常的に50人以上かがポイントです。判断に迷う場合は労働基準監督署または産業医にご確認ください。

Q. 社長が医師です。自社の産業医になれますか

なれません。 労働安全衛生規則13条1項2号が、法人の代表者・事業を営む個人・事業場において実施を統括管理する者を除いて選任するよう定めています。産業医の独立性を確保するための規定です。

Q. 産業医が辞めたときは何をすればよいですか

衛生委員会への報告(理由を含む)と、監督署長への報告が必要です(安衛則13条4項・5項)。監督署への報告は、後任者の選任報告をもって代えることができます。

Q. 50人未満でも産業医と契約するメリットはありますか

あります。 選任義務がなくても、メンタルヘルス対応・休復職判断・健診後フォローは規模に関係なく発生します。50人未満でも医師の対応が必要になる場面については、50人未満でも医師の対応が必要になる4つの場面 で整理しています。

まとめ

  • 産業医の選任義務は、常時50人以上の事業場で、その日から14日以内に発生します(安衛令5条・安衛則13条1項1号)
  • 数え方は事業場単位。会社全体の人数ではありません
  • パート・アルバイト・日雇労働者も、勤務日数や勤務時間の多少にかかわらず含めます(厚生労働省の質疑応答)
  • 派遣労働者は、派遣先・派遣元の双方で数えます。 ただし安全管理者・安全委員会は派遣先のみ
  • 「規模のカウント」と「健診の対象者」は別物です。 派遣労働者は人数に入れるが一般健診は派遣元、3/4未満の短時間労働者は人数に入れるが定期健診の対象外
  • 出向者・役員・休職者の扱いは、公的資料で確認できませんでした。 該当者がいれば監督署へ
  • 選任したら監督署へ8項目を報告。辞任・解任時は衛生委員会にも報告(安衛則13条2項・4項・5項)
  • 法人の代表者・事業の実施を統括管理する者は選任できません(安衛則13条1項2号)
  • 1,000人以上(有害業務は500人以上)は専属、3,001人以上は専属2人以上
  • 怠れば罰則の対象であり、安全配慮義務の観点でも不利に働きます

50人到達が見えているなら、早めの準備が最大のリスク回避です。

本記事は法令および厚生労働省の公表資料の内容を整理したものです。 個別の事案における人数の判定については、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

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執筆・監修

小正 晃裕(医師・産業医/循環器内科専門医・不整脈専門医・両立支援コーディネーター/株式会社MeIX 代表取締役CEO)

参考・出典

  • 労働安全衛生法 第13条・第120条(e-Gov法令検索)
  • 労働安全衛生法施行令 第5条(e-Gov法令検索)
  • 労働安全衛生規則 第13条・第14条(e-Gov法令検索)
  • 厚生労働省「事業場の規模を判断するときの『常時使用する労働者の数』はどのように数えるのでしょうか。」(安全衛生に関する質疑応答集)
  • 厚生労働省「派遣労働者に係る労働安全衛生管理」第4章 派遣先が実施すべき事項
  • 和歌山産業保健総合支援センター「産業医の選任義務など『常時50人以上』や『在籍労働者数』のカウントする対象者」